Web集客って何？
Web集客とは、検索エンジンやWeb広告、SNSなどインターネットを活用してターゲットとなるユーザーや顧客を集める集客方法を指します。
現在では多くの人がインターネットを使用しているため、利用者が多いwebサービスを活用すれば効果的な集客が可能です。また、自社が提供する商品やサービスの購買につなげるだけでなく、企業自体の認知や好感度を高め、見込み顧客になってもらうきっかけにもなります。
多くの人がスマートフォンを持ち、インターネット上でつながる時代だからこそ、Web集客の重要性も高まっています。
Web集客の目的について
Web集客の目的は、売上の増加はもちろんですが、認知度の向上、見込み顧客やファンの獲得などさまざまです。「買ってもらうこと」だけがWeb集客の目的ではありません。スマートフォンの利用が当たり前になった現代では、以前のようなチラシや電話での営業では十分な効果を得ることができません。インターネットを利用した手法で集客を行い、まずは自社を知ってもらうことが重要です。
Web集客とWebマーケティングの違い
Web集客は自社のWebサイトやECサイトなどにユーザーを呼び込むための施策です。具体的な手法としては、Web広告やSEO、SNSなどが挙げられます。
一方でWebマーケティングはインターネット上の施策を実施したり、商品やサービスが売れる仕組みを作るといった活動全般を指します。Webマーケティングは集客以外でもインターネットを活用するため、目的が少し異なります。
Web集客のメリット・デメリット
ここからはWeb集客のメリット・デメリットをご紹介します。
メリットについて
Web集客をより活用するためにも、以下3つのメリットを知っておきましょう。
（1）費用対効果が高い
Web集客は費用対効果が高いというメリットがあります。ブログやSNSであれば無料で始められ、Web広告であれば対象者の地域や性別、年齢などで絞り込める手法も多いので、ターゲットにピンポイントで訴求することができます。
一方、テレビCMの場合はテレビを見ている全員に向けて宣伝ができます。多くの人の目に触れてアプローチできる一方で、費用対効果を図ることが難しくコストが高いといった課題があります。
Web集客は特定のターゲットに対して的確にアプローチし、データに基づく最適化が可能なため、費用対効果が高いとされています。
（2）リアルタイムで情報を更新できる
Web集客は、物理的な印刷物や特定の場所を必要としません。また、街中で見る看板や折り込みチラシ、パンフレットの設置には限りがあります。万が一、内容に誤りがあった場合には修正や刷り直しなどに手間と時間がかかります。
Web集客であれば、修正があった場合でもリアルタイムですぐに情報を更新できるといったメリットがあります。
（3）効果測定がしやすい
折り込みチラシのような媒体だと、集客の効果が判断しづらいといったデメリットがあります。どの経路から顧客が購入に至ったのか知るためには、売上高や来店人数といったデータを比較するかアンケートを用いて直接顧客に聞かなければなりません。
Web集客であればサイトの訪問者数やコンバージョン数（成約数）といったデータを計測できるため、施策の効果測定がしやすくなります。そして、計測結果を分析することで戦略の評価や最適化を行うことができます。
デメリットについて
さまざまなメリットのあるWeb集客ですが、デメリットについても知っておく必要があります。
（1）専門性の高い知識やノウハウが必要
Web集客には専門的な知識やノウハウが必要になります。戦略・施策を決めるためにもWebマーケティングの知見が必要になります。知識がないのにブログを書いたり、広告を出稿しても集客に繋げることは難しいでしょう。自社で運用していくには、基礎知識を身に着けるべきですが、必要に応じて外部の力を借りながら進めることもおすすめです。
（2）すぐに大きな効果はでない
Web集客はコンテンツマーケティングやSEO対策など、効果が出るまでに半年以上かかる戦略が多いです。Web広告であっても、データの蓄積・分析期間は1ヶ月以上かかると言われています。また、顧客が自社の商品やサービスを知り得たとしても、購買行動には情報収集から比較・検討などいくつかのステップがあるため、購入に至るまでには更に時間を要します。
Web集客は中長期的な施策として向いているため、すぐに大きな効果が欲しい場合には向いていないでしょう。
代表的なWeb集客手法
Web集客には具体的に4つの手法があります。それぞれ具体的な手法を確認していきます。
①検索エンジン
Web集客において重要と言われているのが、GoogleやYahoo!といった検索エンジンからの流入です。検索エンジンの検索結果ページに表示される、広告枠以外の通常の検索結果を「自然検索（Organic検索）」と言います。掲載順位（SEO順位）が上位であればあるほどクリック率が高くなる傾向にあります。有料の広告枠には「スポンサー」などといった広告ラベルがついているため、ラベル表示の有無によって見分けがつきます。
上位に表示させるためには質の良いコンテンツの作成やSEOに関する知見が必要になるほか、効果が現れるまでに時間がかかるということも理解しておきましょう。
SEOについて
SEO（Search Engine Optimization）は、Webコンテンツを検索エンジンの上位表示されるようにするための対策を指し、「検索エンジン最適化」とも呼ばれています。ユーザーにとって有益な内容が重視されるため、質が重要になります。SEO順位が高いと、流入数・アクセス数の増加が期待できるほか、コンテンツは削除しない限りWeb上で残るため、会社の資産にもなるでしょう。
自社のサイトの評価を判断する際、Lighthouse（ライトハウス）というツールが役立ちます。LighthouseはもともとGoogleが公式で運営していたツールであり、Google Chromeの拡張機能を使って使用します。評価は、サイトのパフォーマンスやSEOなど5つの項目でレポートされるため、コンテンツの改善などに役立ちます。
MEOについて
MEO（Map Engine Optimization）は、Googleマップでの検索結果において上位表示させることを指し、「マップエンジン最適化」とも呼ばれています。具体的には、「業種×地域名」「サービス内容×地域名」など地域を含む情報で検索した際に、上記のようなマップ情報に表示させる施策です。通常の検索結果よりもマップのほうが上位に表示されることから、有効性が期待されています。Googleマップに掲載している自社の店舗情報を検索アルゴリズムに則って最適化することで、上位表示させることができます。MEOは実店舗を中心にビジネスを行っている企業であれば欠かせない集客手法の一つです。
②Web広告
Web広告とは、インターネット上のメディアに掲載される広告全般を指します。ここからはWeb広告の種類について紹介します。
リスティング広告（検索連動型広告）
リスティング広告は、Google や Yahoo! JAPANといった検索エンジンでの検索結果に表示される広告です。「Google広告」や「Yahoo!広告」とよばれており、検索キーワードに連動して広告が表示されます。そのため、具体的にニーズが明確になっているような確度の高いユーザーにアプローチできるメリットがあります。
リスティング広告は、検索結果に表示されただけでは費用は発生せず、広告がクリックされたときに初めて費用が発生するクリック課金型です。リスティング広告もSEOと同様にコンテンツの質が重要視されており、質が高ければ他社より入札額が低くても優先的に表示されることがあります。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は広告枠のあるWebサイトやアプリに掲載する広告です。画像や動画などを用いてバナー形式で表示させることが多いため、「バナー広告」とも呼ばれています。
ディスプレイ広告の場合、ターゲティング機能が豊富で特定のユーザーを対象に広告を出すことも可能です。属性（年齢、性別など）や興味・関心などを対象にアプローチできます。さまざまなWebサイトやアプリに表示され、ユーザーの目に触れる機会が多くなるため、潜在層にもアピールできます。
リターゲティング広告
リターゲティング広告は、過去にWebサイトを訪れたユーザーに対して配信される広告です。「Cookie（クッキー）」と呼ばれる仕組みを活用して訪問履歴のあるユーザーを追跡し、ほかのWebサイトを閲覧しているタイミングで広告を表示して関心を高めます。また、ECサイトでカートに商品を追加したが購入しなかった「かご落ちユーザー」に配信して購買意欲を再熱させることで、売上につながるチャンスを増やします。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告は、ブロガーやインフルエンサーがWeb上で商品やサービスを宣伝し、その成果に応じて報酬を得る（広告料を支払う）広告です。成果報酬型が基本となっており、メディアを閲覧したユーザーがアフィリエイト広告をクリックし、特定の条件（会員登録や申し込み、資料請求、商品購入など）を満たした段階で成果報酬が発生するという仕組みです。
リスティング広告やディスプレイ広告のようなクリック課金型の広告とは違い、条件を達成しなければ費用が発生しないため、Web広告の中でも費用対効果の高い広告といえます。
記事広告
記事広告は、他社の記事メディアに通常の記事と同じような形で掲載される広告で「タイアップ広告」とも呼ばれています。通常の記事と区別するために、「広告」や「PR」などが分かりやすく記載されています。インタビュー記事やSEO記事、体験レポート記事などさまざまで、ユーザー視点で執筆されている記事が多いため読み飛ばしにくいのが特徴です。掲載している記事メディアの影響力が大きければ認知度の向上にも期待ができるでしょう。
SNS広告
SNS広告は、Facebook・Twitter・Instagram・LINE・TikTok・YouTubeといったSNSに表示される広告です。ユーザーのストーリーズやフィード投稿に自然と表示させることでユーザーに受け入れられやすくなります。また、商品やサービスを訴求したいターゲットに向けてアプローチできるのも魅力です。
③SNS
SNSもWeb集客を強化する上で重要です。ここからはWeb集客で使えるSNSの種類をご紹介します。基本的に無料で集客に活用できますが、更に効果の高いSNS広告（有料）についても簡単に説明いたします。
Instagram（インスタグラム）
Instagramは写真または動画をメインに投稿する SNSです。写真や動画の投稿がメインなので、ビジュアルで訴求するのに効果がありそうな飲食業界や宿泊業、美容業界に向いている SNS です。
広告の配信先は主に、Instagramフィード、ストーリーズ、リール、発見タブがあります。広告費は、予算や配信期間に合わせて設定できるため定額からスタートすることができます。
Facebook（フェイスブック）
Facebookは、実名登録を基本としたSNSです。30〜40代を中心に高い年齢層の人に好まれる傾向にあり、ビジネスパーソンも多いため、BtoB商材を扱っている企業に向いています。
Facebook広告の掲載先は、Facebookフィード、Messenger、Audience Network、Instagramがあります。
Instagramとは運営会社が同じなので、1つの管理画面からFacebookと連携して効果的に広告をうつことも可能です。
X（エックス）～旧Twitter～
Xは、Twitterが2023年7月24日にリブランディングした後の名前です。Xの大きな特徴は投稿に140字の文字数制限があること、誰もが一言からでも気軽に投稿できるという点です。10〜20代を中心とした若年層が多く利用しており、即時性・拡散性に優れたSNSです。
Xのタイムラインや検索結果に広告を表示することができます。クリックやリンク先への遷移、フォロワーの獲得など、事前に指定した目的に応じたアクションが発生したときにのみ課金される仕組みです。広告がリツイートやいいねで拡散されても余分に費用は発生しないので、拡散されるほど広告の費用対効果は上がります。
LINE（ライン）
コミュニケーション手段として多くの世代に用いられているLINEは不特定多数のユーザーに向けて情報を発信できる「LINE公式アカウント」を開設し、集客に利用できます。友だち登録をしたユーザーに情報を発信するため、リピーターやファンの育成に向いています。
LINE広告は、トークリストの最上部やLINE NEWS、LINEポイントなどユーザーがよく利用する10種類以上のコンテンツに掲載することができます。「LINEデモグラフィックデータ配信」という機能を使えば、年齢、性別、地域、興味関心でターゲットを設定して広告を配信することができます。
TikTok（ティックトック）
TikTokは、中国のByteDance社が国際版として開発したSNSアプリです。15秒〜60秒ほどの短い動画を投稿できるのが特徴です。
TikTokをビジネス活用する場合、「TikTok For Business」があります。TikTok For Businessとは、TikTok上にショート動画をはじめとした広告を掲載できるサービスのことです。TikTok For Businessを活用することで、企業は広告だと思わせないコンテンツ作成ができるようになります。また、宣伝の目的と予算、ターゲットを設定するだけで広告を投稿できるため、簡単に利用できます。
④メールマガジン
メールマガジンは複数の人に対して一斉に配信するメールのことです。メール本文にWebサイトへのリンクを貼ることで、受信者をサイトに誘導することができます。過去に取引履歴のあるユーザーに向けて自社の商品・サービスの情報を提供し、継続的な接触を図ることで顧客との関係性を構築することができます。
⑤予約サイト
飲食業界では、予約サイトへの登録も集客方法としておすすめです。国内のグルメ予約サイトの例として、食べログやぐるなび、ホットペッパーグルメなどが挙げられます。サイト内では、飲食店の検索や比較、オンライン予約、クーポン発行などが可能です。
飲食店がグルメ予約サイトに登録するメリットとして、「潜在顧客層の集客効果」が挙げられます。グルメサイトの情報を参考に飲食店を決める利用者は多くいるため、掲載によって知名度アップにつながります。媒体によっては、海外にまで自店の存在を伝えられるため、観光客の取り込みにも役立ちます。
お店の公式HPは、SEOで上位表示されたり、認知されるまで時間がかかるため、グルメサイトで新規顧客を獲得し、既存顧客は公式HPからの予約に誘導することで送客手数料といったコストを最小限に押さえることができます。
Web集客を成功に導くコツとは
ここからは集客を成功に導く4つのコツをご紹介します。
目的を明確にする
新規顧客を獲得したい、リピーターを増やしたい、認知度を上げたいなど企業がWeb集客をする目的はさまざまです。目的が決まらないままWeb集客を実施すると、予算や時間を無駄にしてしまう可能性があります。まずはWeb集客を行う目的を明確にすることが必要でしょう。
ターゲットを定める
Web集客はターゲットを定めなければ、集客方法が決められません。まずは、どのようなニーズを持ったユーザーがターゲットになるのかを考えましょう。ターゲットが明確になればペルソナも設定しやすくなります。また、自社の強みとニーズが合致するユーザーであれば他社と比較されたとしても自社が選ばれやすくなります。
目的やターゲットに合わせた手法を選択する
Web集客は目的やターゲットのニーズに沿った手法を行うことが重要です。例えば10代の若年層がターゲットなら、拡散されやすいSNSを用いて情報を発信するのが良いでしょう。ビジネスパーソンがターゲットなら、リスティング広告やSEOから流入につなげることもおすすめです。ターゲットに合わせて手法を変えることで効果的に集客が行えます。
効果測定と改善
Web集客の施策は一度で終わりではありません。集客数や流入、問い合わせにつながっているかなど、成果が出ているかを随時チェックしPDCAを回す必要があります。想定していた効果が見込めない場合は、改善を実施する必要があります。そしてまた成果をチェックし、改善と効果検証を繰り返すことで目的を達成できるWeb集客が可能になります。
Web集客に活用できる管理ツール
ここからはWeb集客の際に活用できるツールをご紹介します。
MA
MAツール(Marketing Automation)は、新規顧客の獲得や見込み顧客の育成を自動化するツールです。MAツールには、見込み顧客の管理機能やメール配信機能・スコアリング機能が搭載されているため、見込み顧客を効率的に管理することが可能です。また、営業活動を支援する「SFA」や、受注顧客の育成を行う「CRM」と連携することで、より効果的にWeb集客ができるようになります。
CMS
CMS（Content Management System）は、誰でも簡単にWebサイトを作成・コンテンツ配信を行えるツールです。代表的なCMSとして、WordPressが挙げられます。画像やテキストのデータをCMSに保存することでデータを組み合わせて自動的にWebページを作成してくれます。CMSによってプログラミングが不要となるため、簡単にWebサイトを制作できます。
CMSはWeb集客の効果を向上させるための基盤となります。コンテンツの管理や最適化、UXの向上、SEO対策など、さまざまな側面での支援が期待できるため、適切なCMSの選択と運用が重要です。
Google Search Console
Google Search Console（グーグルサーチコンソール）は、Googleが無料で提供する検索分析ツールです。どのようなキーワードで流入があるのかやキーワードごとの順位を分析できます。また、公開したWebページのインデックス登録を依頼する機能も利用できます。Web解析ツールであるGoogleアナリティクスと併用することをおすすめします。
Google Analytics
Google Analytics（グーグルアナリティクス）は、Googleが無料で提供するWebサイトの解析ツールです。サイトへのアクセス数や流入、ユーザーが使用しているデバイスなど、サイトのアクセスに関するさまざまなデータが確認できます。無料で利用できる上に有能な機能が多いため、Web集客を行う企業の多くが活用しています。
サーチコンソールが「Webサイトに訪れる前」を分析するツールに対して、アナリティクスは「Webサイト訪問後」を分析します。
Googleキーワードプランナー
Googleキーワードプランナーは、Googleが提供しているキーワードごとの月間検索数を見ることができるツールです。もともとは、Google広告（Google Adwords）を出稿する広告主向けにキーワード選定の参考となる情報を提供するツールですが、SEO対策や自社コンテンツのキーワード探しにも役立ちます。
【業種別】Web集客の事例
Web集客における業界別の成功事例をご紹介します。
飲食業界のWeb集客
コロナ禍で苦境に立たされていた焼肉店では、Googleビジネスプロフィールを活用して売上を維持することに成功しました。Googleマップに掲載されるお店情報に、テイクアウトやデリバリー情報などを詳しく掲載することで、間接検索数が増加。そこで、もともとグルメサイトへ掲載していた予算をGoogleビジネスプロフィールへ投入し、さらに対策を行った結果、客単価も上がり売上維持につながりました。
コロナ禍でお店は営業しているのか、人数制限はあるのか、感染対策はされているのか、テイクアウトやデリバリーは可能なのかなどお客さまのニーズに応える発信を続けた成果といえるでしょう。
美容業界のWeb集客
美容クリニックがYouTubeを活用し、1本の動画から売上1億円以上を獲得した事例を紹介します。
美容クリニックに興味を持っているターゲットは施術の方法や痛み、施術後の傷跡について知りたいという二ーズを持っています。そこである美容クリニックでは、YouTube内で取り上げられていない「脂肪吸引」というキーワードに目を付け、施術映像付きの動画を作成しました。また、YouTubeショートを用いてビフォーアフターの動画を作成することで、施術の効果を分かりやすく伝えることができ、動画を視聴したユーザーの意欲をかき立てる事に成功しました。
結果としてYouTube内で脂肪吸引の動画再生数1位を獲得し、動画を見たという顧客が急増するだけでなく、動画から1億円以上の売上を達成しました。
まとめ
今回ご紹介したWeb集客はビジネスの成功に不可欠です。Webの最適化、SEO対策、SNS活用、リスティング広告など、多様な手法がありますが、ターゲットが求める質の高いコンテンツを提供することが重要です。
