ネイティブアプリとは
ネイティブアプリとは、スマートフォンやタブレットなどのホーム画面に「App Store」や「Google Play」などのアプリケーションストア経由でインストールして使用するアプリです。正式名称は、ネイティブアプリケーションといいますが、一般的にはスマホアプリともいわれています。特定のプラットフォーム専用に開発しているため、カメラ・GPS・OSなどの機能を活用できるのが特徴です。ここでいうプラットフォームとは、特定のアプリを動作させる基盤のOSを指します。ネイティブアプリは、動作スピードが速く操作性に優れています。初めて利用する際にはダウンロードが必要ですが、それ以降はオフラインで使うことができます。ただし、「Twitter」や「Instagram」などのSNSやオンラインベースのソーシャルゲームなどは、オンライン環境が必要になります。
各アプリの違い
ネイティブアプリと似た言葉に「Webアプリ」「ハイブリッドアプリ」「PWA」などがあります。大きな特徴の差は以下のとおりです。
アプリの種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
ネイティブアプリ |
OSにインストールして使う |
・オフラインで使える |
・アプリストアの審査にパスする必要がある |
Webアプリ | Webのブラウザ上で操作する |
・開発コストが低い |
・インターネット環境が必要 |
ハイブリットアプリ | Webアプリとネイティブアプリ両方の要素がある |
・開発コストが低い |
・インターネット環境が必要 |
PWA | Web上で利用するがネイティブアプリのように使える |
・オフラインで使える |
・普及率が低い |
(1)Webアプリ
Webアプリとは、簡単に言えば、インターネットを利用してブラウザ上から操作できるアプリを指します。レシピ紹介サイトである「クックパッド」、世界最大級のショッピングサイト「Amazon」、グルメ情報サイト「食べログ」などはWebアプリです。Webアプリは、ネイティブアプリのようなインストール作業が不要で、SafariやChromeから検索して使えます。バージョンアップも自動的に行われるため、常に最新版のアプリを手間をかけることなく利用できるというのがメリットです。また、アプリケーションストアによる審査を受ける必要もありません。仕様に対する制約が少なく、自由に開発することができます。Webアプリは、ネイティブアプリに比べると動作が重い傾向にあるため、操作が単純でスピードを要求されないものに向いています。Webアプリについて詳しく知りたい場合は、以下を参考にしてください。
【WebサイトとWebアプリって何が違うの?】販促ツールとしての使い方をご紹介!
(2)ハイブリッドアプリ
ハイブリッドアプリとは、ネイティブアプリとWebアプリの特性を兼ねたアプリです。Webアプリでは利用が難しいようなスマートフォンのカメラ・マイク・各種センサーなどの機能を利用できます。ハイブリッドアプリでは、各OSで利用できる「WebView」を用いて開発を行っているため、OS別に開発をする必要がなく、開発のリソースやコストを抑制しやすいというメリットがあります。1つのアカウントを持っていれば、複数端末で利用でき、主要OS間でデータを共有することも可能です。処理速度は、Webアプリ以上、ネイティブアプリ以下になります。
(3)PWA
新しいアプリの形式としてPWA(Progressive Web Apps:プログレッシブウェブアプリ)が挙げられます。PWAとは、ネイティブアプリとWebアプリの両方の特徴を備えています。わかりやすく言うと、ネイティブアプリのように使えるWebアプリです。インストールしなくても、ホーム画面にアイコンを追加することができます。最近では、「Twitter」の軽量版である「Twitter Lite」がPWAでリリースされました。アプリストアによる審査がないため、アップデートも簡単です。「Webページの読み込み時間を短縮できる」や「スムーズな操作が可能となる」といった特徴もあり、Googleも導入を推奨している技術です。Webページの読み込み時間を短縮できるPWAは、ユーザーの利便性向上にもつながります。検索エンジンからの流入も可能なため、流入によるリーチも期待できるでしょう。しかし、Webアプリよりも仕様が複雑なため、開発費用が高くなるというデメリットがあります。
ネイティブアプリのメリット・デメリット
ネイティブアプリのメリット・デメリットをそれぞれ詳しく見てみましょう。
メリット
ネイティブアプリのメリットとして、以下の4点が挙げられます。
(1)起動・動作処理が速い
ネイティブアプリは、端末に直接インストールしないと使えません。しかし、それだけに起動や動作処理のスピードが速いのが特徴です。起動・動作処理が速いのは、アプリ自体の操作性・快適性にも大きく影響します。読み込みスピードが速いため、ユーザーもストレスなく快適に使えるでしょう。コンテンツの読み込み速度が早ければ、ユーザーエクスペリエンスが向上するため、動作速度は非常に重要です。そしてインストール後は、スマートフォンのホーム画面にアイコンが表示されます。
(2)ユーザーが継続的に利用しやすい
ユーザーがストレスなく利用できるため、継続して使ってもらいやすくなります。ホーム画面という目に入りやすい場所にアプリのアイコンがあるため、隙間時間などに利用する人も多いでしょう。ホーム画面のプッシュ通知で、アプリ経由の情報が得られやすいという利便性も継続的な利用に結びつきます。
(3)ストア経由でアプリ内課金が出来る
アプリストアを介して比較的簡単に課金できる点もメリットです。課金までのステップが長いほど、ユーザーは面倒になり課金を諦めてしまうこともあるでしょう。しかし、アプリストアにクレジットカードを登録していれば、1タップで簡単に課金できます。ユーザーも面倒な課金手続きが不要になり、ベンダーも収益が見込めるため、双方にメリットがあります。
(4)プッシュ通知が使える
ネイティブアプリには、プッシュ通知機能があります。プッシュ通知とは、サービスを提供する側がユーザーに対して好きなタイミングでメッセージを送ることができる機能です。ユーザー側もサービスの更新やイベントの開催などの最新の情報を受け取ることができます。
デメリット
ネイティブアプリには、たくさんのメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
(1)新規ユーザー獲得が難しい
ネイティブアプリの最大のデメリットといえるのは、新規ユーザー獲得の難しさです。「Google」や「Yahoo!」などの検索エンジンからのユーザー流入が期待できないため、Webサイトなどに広告を出稿して、ストアページへ誘導しなければなりません。また、インストールする必要もあるため、アプリを利用するまでのハードルが高い点はデメリットとなるでしょう。
(2)リリースやアップデートの際に審査がある
ネイティブアプリは「Google Play」や「App Store」のガイドラインに沿って設計・開発する必要があります。リリース前やアップデートの際にはストア審査をパスしなければなりません。手数料も支払う必要があり、リリースまでに時間とコストがかかる点はデメリットといえるでしょう。
GoogleがAndroid向けに展開する「Google Play」は自由度が高く、Google Play以外からアプリを入手する手段も用意されています。一方で「App Store」ではアプリの審査が人の手によって行われ、基準も厳しいです。以前は審査に数週間から1ヶ月かかることもありましたが、最近は1週間程度に短縮されているようです。
(3)開発コストが割高になる
ネイティブアプリは、iOSとAndroidの2つのOSに対応させるため、コストが高くなります。2つのOSに対応させるためには、iOSの開発言語であるSwiftやObjective-C、Androidの開発言語であるKotlinやJavaが使えなければなりません。また、それらの言語を使用できるプログラマーを採用する必要があります。Webアプリやハイブリッドアプリと比較すると、高額になりがちです。また、ネイティブアプリは掲載できる情報が限られています。定期的に情報を更新するため、運用費用も発生する点がデメリットです。
ネイティブアプリはどのようなサービスに向いている?
ネイティブアプリは、端末の「カメラ機能」「プッシュ通知」「位置情報」など、OSのネイティブ機能をフル活用するサービスに向いています。例えば、カメラ機能を利用したサービスの場合は、撮影時にフィルターをかけたりスタンプを楽しめる機能を提供すれば、表現の幅が広がるためユーザーからの評価を得やすいでしょう。プッシュ通知を活用すれば、音や振動でユーザーに情報を知らせることが可能です。チャットアプリのメッセージ受信のお知らせ、学習アプリの学習時間の告知などさまざまな使い方ができます。位置情報機能(GPS)を活用すれば、子どもや高齢者の防犯対策に利用可能です。
また、店舗経営をはじめとした新規顧客獲得を目指す企業もネイティブアプリの利用をおすすめします。主要OSのネイティブ機能が利用できるというメリットを最大限に活かし、ユーザーニーズに応じて新たな切り口を見つけていきましょう。
ネイティブアプリの活用例
ネイティブアプリの特徴やメリット・デメリットがわかったところで、実際に店舗やブランドで導入した場合、どのように活用していけば良いのかを解説します。
(1)情報の集約
最近は、TwitterやInstagramなど、無料で使える集客ツールも増えています。しかし、集客ツールが増えたことで、ユーザーは「どこで情報を得たのかわからなくなった」「知りたい情報をどこから見たら良いかわからない」など、混乱を与えてしまうこともあります。ネイティブアプリなら、ユーザー側が知りたい情報を集約して掲載することが可能です。ユーザーが営業時間や店舗の場所、商品情報、キャンペーンなどを知りたいときは、アプリを見ればわかります。また、企業のWebサイトやSNS内にアプリの特定ページに飛べるリンクを埋め込めば、アプリへの流入も期待できます。
(2)予約機能
アプリの予約機能で簡単に予約できるようになれば、ユーザーは予約するたびに個人情報を入力する手間や電話予約の必要がなくなります。ユーザーの利便性が向上することによって、顧客の維持にもつながるでしょう。
(3)プッシュ通知の活用
スマートフォンのロック画面に、メッセージを表示できるプッシュ通知を活用することによって、メッセージの開封率が高くなります。ダイレクトメールやメールマガジンよりもユーザーとコミュニケーションをとることができる点はメリットです。また、スマートフォンの位置情報を活用し、店舗の近くにいるユーザーに対して、セール情報を発信するなどの活用ができます。来店ユーザーが店舗エリアを離れるときにお礼の通知を送信し、再来店につなげるという活用も可能です。
(4)ポイントやクーポンなどの販促機能
以前は集客手段として、多くの企業がポイントカードやクーポンを紙やカードなどのアナログ形式で発行していました。しかし、アナログ形式のポイントやクーポンには、下記のような課題がありました。
- 財布がパンパンになるのが嫌で、ユーザーが利用を止めてしまう
- ポイントカードを忘れたユーザーは、サービスを受けられない
課題解決のため、最近では、アプリにポイントカード機能を搭載する企業が増えています。アプリ内にポイントカード機能を付けることによって、アナログ形式によるポイントカードの課題が解決できます。それにより、顧客の利便性や利用率の向上が期待できます。さらに、アナログ形式のクーポンをデジタルクーポンにすれば、印刷費用や配布するための人件費、郵送費も必要なくなるため、販促費の削減にもつながります。
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(5)顧客情報の集計や行動分析
ネイティブアプリでは、以下のような計測が可能なのでユーザーの顧客情報の集計や行動分析が簡単にできます。顧客情報の集計および行動を分析することによって、施策の企画に役立てることができ、顧客ロイヤリティ向上が期待できます。
- アプリ内コンテンツの閲覧情報
- プッシュ通知の開封
- クーポン・ポイント・スタンプなどの利用状況
- 来店状況
- 購買行動
- アプリ内からのEC流入状況
まとめ
ネイティブアプリをはじめ、Webアプリ、ハイブリッドアプリ、PWAそれぞれの特徴や違いについて解説しました。ネイティブアプリのメリット・デメリットや活用できるサービスについても紹介しています。店舗やブランドに導入すれば、集客や施策の企画に役立てることも可能です。今回ご紹介した内容を参考にして、ご活用ください。