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顧客との信頼を構築する”顧客エンゲージメント”についてご紹介!

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顧客エンゲージメントについて

顧客エンゲージメント1

顧客エンゲージメントとは、マーケティング用語のひとつで、現代のビジネスにおいて重要な施策であり、近年多くの注目を集めています。そもそも顧客エンゲージメントとはどのような施策なのか、似たようなマーケティング用語である「顧客ロイヤリティ」や「顧客満足度(CS)」とどのような違いがあるのか詳しく解説します。

顧客エンゲージメントとは?

エンゲージメント(engagement)とは、「契約」や「約束」の意味をもつ英単語です。「顧客エンゲージメント」は、企業と顧客における信頼関係や絆を表します。例えば、好きな企業やブランドへの年間来店数、年間購入額、企業やブランドのSNSへのアクセス数などが、エンゲージメント(信頼)の尺度となります。エンゲージメントが高い傾向にある顧客は、成熟した市場においても企業やブランドを信頼しているため、頻繁に商品やサービスを利用したり、価値をほかの人に伝えたりしてくれます。

顧客ロイヤリティとの違い

顧客エンゲージメントに似た言葉に「顧客ロイヤリティ」があります。ロイヤリティ(loyalty)とは、商品やブランドを顧客がどれだけ好きになってくれるかという「忠誠心」を意味します。

顧客エンゲージメントとは、基本的には顧客が起こしたアクションをもとに、商品やサービスとの親密度を表したものです。それに対して顧客ロイヤリティは、企業や製品・サービスについて顧客にNPS(ネット・プロモーター・スコア=顧客推奨度)などのアンケートを行い、顧客が抱いている愛着度や信頼度を数値で表します。企業はそれをもとに、商品やサービスの継続購入・利用をしてもらえるかどうかを判断するのです。

顧客ロイヤリティには、「顧客はこのような商品やサービスが好きなのではないか」と推測し、「それに対して顧客がどのくらい従ってくれるか」というニュアンスが含まれます。そのため、企業から顧客に対して一方向のニュアンスがあります。顧客エンゲージメントは、顧客ロイヤリティより企業と個人が対等で、双方向にコミュニケーションが行える関係だと言えます。

顧客満足度(CS)との違い

顧客満足度(Customer Satisfaction)」とは、企業の商品・サービスが、顧客の満足度(期待値)にどの程度応えられているかを表す指標で、CSと表記されることもあります。顧客満足度が高い商品・サービスは、顧客のニーズを満たしていると判断できます。

例えば、顧客が同じ商品を何度も買い続けるという行為は、企業や商品に満足度があるからといっても良いでしょう。顧客満足度は、顧客が購入前に抱く商品やサービスの「期待値」と、実際の「価値」とのギャップによって生まれます。例えば「思ったよりも品質が良かった」「期待していたよりもコスパが良かった」などのケースにおいて、顧客満足度が満たされます。

ただし、「商品は良かったけれど、次は別の企業の商品を買ってみよう」「サービスは気に入っているけれど、高いから解約しよう」というパターンもあるため注意が必要です。必ずしも顧客満足度が安定した収益につながるわけでありません

顧客エンゲージメントは、企業と顧客の間で信頼性があるので、同ブランドの使ったことがない商品でも「次はあれを買ってみよう」というケースが発生します。しかし、顧客満足度は、顧客が利用した製品やサービスに対する評価です。信頼や愛着といった関係性が築けていないため、一度利用しただけで別商品を買うこともなく離れてしまうこともあります。

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顧客エンゲージメントが重要視されるようになった背景

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顧客エンゲージメントは、近年マーケティングにおいて重要視されるようになりました。そこには、以下のような背景があります。

(1)市場競争の激化

価格競争に巻き込まれないためには、顧客とコミュニケーションを図り、顧客が「また使いたい」「他の商品も使ってみたい」と思うような、親密かつ長期的な関係を築いていく必要があります。

新たな商品やサービスに着手し、市場に参入したばかりのころは「珍しい商品」「ほかにはないサービス」が注目されます。しかし、技術力が向上している現代では、同じような商品が他社からすぐに販売されてしまいます。すると、高付加価値とされていた製品やサービスがありふれたものとなり、独自性が薄れる「コモディティ化」が起こります。コモディティ化した商品やサービスは、他社との差別化が計りにくいため、安さで勝負するしかありません。このようなコモディティ化への対策として、「顧客エンゲージメント」が重要視されるようになりました。

(2)顧客の発信力が高まった

以前は「TVCM」や「新聞」などのマス広告が大きな影響力を持っており、企業やブランドが発信するイメージが、そのまま顧客に受け入れられていました。しかし、近年はSNSが普及し、顧客一人ひとりの発信力が高まっています。顧客は購入時にSNSの口コミなどを参考にする傾向が高く、商品を購入してからもSNSで評価する機会が増えました。さらに顧客は、膨大な情報の中から多角的に吟味して、自分にとって良い商品・サービスかどうかを見極めるリテラシーを身に着けるようになっています。顧客に信頼される企業・ブランドになるために、顧客との双方向コミュニケーションを重視する必要があるのです。

(3)LTVが重要視されるようになった

LTVとは、マーケティング用語で「Life Time Value(ライフ タイム バリュー)」の頭文字を取ったものです。日本語では「顧客生涯価値」と訳され、顧客が企業との取引開始から取引終了までにどのぐらいの金額を使ったのかを表します。LTVは、顧客が企業にとってどのくらいの利益をもたらすかの目安にもなる指標です。

新規顧客を獲得するためには、膨大な時間とコストが必要です。できるだけ少ないコストで収益を得られやすい既存顧客との関係を維持するために、多くの企業が、LTVの向上に取り組んでいます。LTVの向上のため、顧客との信頼関係を築く「顧客エンゲージメント」が重要視されるようになりました。

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顧客エンゲージメントを高めるメリット

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市場競争が激化し、顧客の発信力が高まった現代においては、顧客エンゲージメントを高めることが重要です。顧客エンゲージメントを高めると、以下のようなメリットが得られます。

(1)リピート率の向上

顧客エンゲージメントが高い顧客は、企業や商品を信頼しているため、製品やサービスを継続的に購入・利用する傾向があります。「ここの商品は良いから別の商品も使ってみよう」「系列ブランドも気になるから今度店舗に行ってみよう」と、別商品や系列のブランドを試してくれることもあります。既存顧客は新規顧客に比べて獲得コストも低いため、リピート率の向上は収益の安定に大きく貢献するでしょう。特に、サブスクリプションサービスなどでは、解約が減少するのも大きなメリットです。顧客エンゲージメント向上により、ユーザーが商品・サービスのファンになればなるほど、継続的な購入や利用につながります。

(2)新規顧客の獲得

商品・サービスのファンである既存顧客は、ECサイトのレビューを書いてくれたり、SNSに投稿してくれたりします。ユーザーならではの視点で企業や商品の魅力を存分にアピールしてくれるため、潜在顧客へのアプローチも可能です。好意的な口コミやレビューが多くあれば、企業側が何もしなくても情報が拡散され、新規顧客の獲得につながります。顧客エンゲージメントの向上は効果的なプロモーションとなり、多くの新規顧客を獲得するチャンスが広がるでしょう。

(3)製品、サービスの成長につながる

顧客エンゲージメントが高い顧客は、継続的に商品やサービスを利用しています。そのため、疑問点や不満を企業にフィードバックし、能動的に商品・サービスに関わろうとします。フィードバックの一例としては、下記のようなものがあります。

  • このような機能があるとうれしい
  • 別の色が欲しい
  • こうすれば、さらに商品・サービスが良くなる

顧客からのフィードバックを積極的に取り入れることで、より顧客のニーズにマッチした商品やサービスへとブラッシュアップしていくことができるでしょう。

顧客エンゲージメントを高める方法

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顧客エンゲージメントを高めるには、顧客の立場になり、どのような商品やサービスを求めているのかを理解して提供することが大切です。しかし、「何から始めたらよいかわからない」「どのように進めたらよいかわからない」という方も多いでしょう。そこでここからは、顧客エンゲージメントを高める3つの方法をご紹介します。

(1)顧客行動のデジタル化

顧客エンゲージメントを高めるには、まず現在の顧客エンゲージメントの状況を把握することが必要です。状況を的確に判断するためには、データが必要になります。近年は、インターネットの普及によって、消費者がどのように行動して購入に至ったのかを把握しやすくなりました。顧客行動のデジタルデータを集計して分析すると、どのような体験を求めているのかを理解するのに役立ちます。

データを集計する際は、顧客とのタッチポイント(接点)を洗い出すことがポイントです。例えば、実店舗・看板・チラシなどのオフラインのタッチポイントもあれば、Web広告・SNS・ECサイトなどのオンラインのタッチポイントもあります。顧客がどのようなタッチポイントで、どのような感情になってアクションを起こしたのかを分析することが重要です。分析結果から課題を抽出し、課題をクリアするための戦略を練れば、顧客エンゲージメント向上につながります。

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(2)CX(顧客体験)の向上

CXとはCustomer Experienceの略語で、日本語では一般的に「顧客体験」と訳されます。「顧客が商品やサービスに興味を持ってから、購入後にアフターサービスを受けるまでの過程で、企業との接点で感じるすべての体験」を表す言葉として使われています。例えば、商品やサービスがどれほど優れていても、トラブルが起こったときの対応が悪ければ、信頼関係は築けません。企業が提供している顧客とのあらゆる接点において、顧客にどのようなメリットをもたらすのかを想定し、体験の価値を高めていくことが大切です。

(3)自社メディアやSNSで情報発信する

顧客エンゲージメントを高めるためには、接触頻度を高めるのが効果的です。心理学には、「単純接触効果」とよばれる現象があります。「人は接触頻度が多ければ多いほど、対象に好感を抱く」という現象です。この現象を利用し、ターゲットが関心をもっていそうな情報を発信し、接触する機会を増やしていきましょう。自社メディアやSNSなどの媒体を積極的に更新し、活用するとよいでしょう。

ポイントは、画面の向こうのターゲットユーザーを生身の人間としてとらえ、コミュニケーションを取ることです。投稿内容がユーザーが得たい情報にマッチしているか、投稿のタイミングがユーザーの生活リズムに合っているかなどを考慮することも重要です。投稿に対してユーザーからの反応があれば、できるだけリアクションを返していくとよいでしょう。

SNSでは、エンゲージメント率を確認しながら、ユーザーの心に響く投稿がどのようなものなのかを探っていきます。継続的に投稿し続ければ、多くのユーザーに届くため、顧客エンゲージメントを高めていけるでしょう。

顧客エンゲージメントの計測に必要な指標

自社の顧客エンゲージメントはどのように計測すればよいのでしょうか。顧客エンゲージメントは顧客の反応だけでなく数値化して測定することでより客観的に判断できるようになります。

NPS(顧客推奨度)

NPSは先述した通り、「Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)」の略で、顧客ロイヤリティを測る指標です。今まで計測が難しかった企業やサービスに対する信頼・愛着を顧客アンケート調査を基に数値化し、CX(顧客体験)の評価や改善に活かされています。

以下の0~10点のスコアで顧客を分類することで、顧客ロイヤルティの度合いを表すことができます。NPSのスコアは、推奨者の割合から批判者の割合を引いたものです。

推奨者の割合(%)- 批判者の割合(%)= NPS
 

推奨者は、ロイヤルティの高い顧客という見方もできます。ネット・プロモーター・スコアは、企業の収益性・業績・成長率にも相関関係があることが調査結果から証明されています。

スコアの点数 顧客の分類
0~6点 批判者
7~8点 中立者
9~10点 推奨者

顧客生涯価値(LTV)

顧客生涯価値も顧客エンゲージメントと関わる指標になります。メーカーや小売業の場合は、以下のような計算式でLTVを求めます。この方法で計算する場合は、購買単価、購買頻度、継続期間の平均値で計算します。計算式は以下のとおりです。

LTV(顧客生涯価値) = 購買単価(円) × 購買頻度(回数) × 継続期間(年)
 

どこまで厳密に計測するかによって異なる複数の計算式で数値化できます。顧客エンゲージメントが高い状態は、顧客生涯価値を高める条件がすべて揃っています。「多く買いたい」や、「何度も買いたい」などの相乗効果により、顧客生涯価値も向上していきます。

解約率(チャーンレート)

顧客が商品やサービスを「継続して使いたい」と思っていれば、解約率が低くなることが分かります。つまり、顧客エンゲージメントが高ければ、解約率は下がるということです。解約率は顧客生涯価値とも関係するため、必然的に顧客エンゲージメントとも関わる重要な指標と言えます。解約が起きた場合には原因を調査し、迅速に対応することで顧客エンゲージメントの低下を防ぐことができます。
解約率は次の計算で求められます。

解約率(%) = 一定期間に解約した顧客数(人) ÷ 当初の顧客数(人) × 100
 

例えば、月初めのサブスクリプション登録者は1,000人いましたが、その月のうちに10人が解約したとします。その場合の解約率は10÷1000×100=1%。
許容される解約率は3~10%程度と言われていますので、それを超える場合は原因の追求と改善策が必要です。

レビューの数や質

顧客には、良いサービスに出会った時、他の人に広めたいという心理が生まれます。そのため、顧客エンゲージメントが高いサービスは、好意的なレビュー数が多くなります。しかし、レビューの数が多いから顧客エンゲージメントが高いとはいえません。レビュー内容がクレームやサービスへの不満が書かれている可能性があります。レビューは数だけでなく質にも注意しましょう。

顧客エンゲージメント向上の事例

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ここからは、実際に顧客エンゲージメント向上に取り組んだ企業の事例を見てみましょう。

(1)三越伊勢丹

三越伊勢丹では、「新しいコスメに出会うことは、新しい自分に出会うこと」をコンセプトとした「meeco」というオンラインストアを運営しています。しかし、サイト上でお客さまごとに適切な訴求ができていないという課題があり、顧客データを収集分析するWeb接客ツールを導入しました。対象者を細かくセグメント分けし、顧客のニーズに合った情報を提供できるようになり、購買行動に繋げられる顧客が増加したことで、ROAS(広告費の回収率)が3倍になるという結果をもたらしました。

(2)日本航空(JAL)

航空業界では、顧客との関係維持が非常に難しく、飛行機の利用以外にも顧客との接点をもつことが課題となっていました。そこで日本航空(JAL)では、公式FacebookやInstagramを開設し、顧客との接点創出を図ることにしました。SNSを通じて20~30代女性に向けた情報発信を行うことで、ユーザーとの接点を維持したのです。また、データから得た情報をサービス改善につなげたことで、顧客エンゲージメントの強化に成功しています。

まとめ

市場競争が激化し、顧客の発信力が高まった現代においては、顧客エンゲージメントを高めて顧客との信頼関係を築いていくことが重要です。今回は、顧客エンゲージメントの意味やメリット、顧客エンゲージメントを高める方法、他社の事例などを紹介しました。顧客エンゲージメント向上の施策を行う際の参考にしてください。

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